09/04/23

奈良地裁判決「待機時間も労働」産科宿直に割増賃金

 奈良県立奈良病院(奈良市)の男性産婦人科医2人が、夜間宿直や休日などの勤務に対し、正当な労働
対価が支払われていないとして、県に平成16〜17年の割増賃金未払い分計約9230万円の支払いを求
めた訴訟の判決が22日、奈良地裁であり、坂倉充信裁判長は県に計約1500万円の支払いを命じまし
た。

 弁論では、医師らの宿直や休日(宿日直)勤務が、労働基準法や人事院規則にのっとって県が定めた条
例で割増賃金を支払う必要がないと定められた「断続的勤務」かどうかが大きな争点となりました。

 坂倉裁判長は判決理由で、断続的勤務に該当する宿日直勤務について、「構内巡視や文書・電話の収
受など常態としてほとんど労働する必要のない勤務」と判示、同病院の産婦人科医師らの勤務実態は「宿
日直の24%の時間、救急患者の措置や緊急手術などの通常業務に従事していた」と認定し、断続的勤務
には該当しないと判断しました。

 その上で、宿日直中は「奈良病院の指揮命令下にあり、割増賃金を支払うべき対象の労働時間にあた
る」と指摘し訴えのうち、時効が未成立の平成16年10月末以降の割増賃金の支払いを命じました。

 同病院産婦人科には当時、医師5人が所属。平日の通常勤務以外に夜間(午後5時15分〜翌朝8時3
0分)、休日(午前8時30分〜午後5時15分)の当直があり、いずれも1人で担当。労基法上では、待ち時
間などが中心の当直は、通常勤務と区別され、割増賃金の対象外とされます。そのため、県は1回2万円
の手当だけ支給していました。

 尚、原告らは、緊急時に備えて自宅待機する「宅直制度」も割増賃金の対象になると主張しましたが、坂
倉裁判長は、宅直については、医師らの自主的な取り決めとして、割増賃金の対象と認めず、請求を退け
ました。