2008/11/14

薬剤師の労災の訴え棄却 東京地裁

   青森労災病院に勤務していた薬剤師の妻が「夫がうつ病を発症し自殺したのは過重な労働が原因」とし
て、国に労災の不支給の取り消しを求めた裁判が13日に東京地裁でありました。中西茂裁判長は「業務
とうつ病の発症には、因果関係が認められない」として、訴えを棄却しました。


 訴えを起こしたのは三浦恵吾さん(故人・当時39歳)の妻、久美子さん。判決によると、三浦さんは同病
院に主任薬剤師として1997年から勤務し、2000年12月に亡くなりました。三浦さんは「コンピューター西
暦2000年問題」に対応するため、1999年6月にシステムの仕様書を作成後、業者と連絡を取りながら
新薬剤管理システムの構築する業務をしていました。


 うつ病の業務起因性について原告側は「月50〜80時間の時間外労働」や「システム開発の多忙な時期
に、薬剤師の研究発表のため3回の出張を命じられた」などにより「仕事の量・質ともに相当の負荷が掛か
っていた」としていました。


 一方、国側は「時間外労働は最大で41.25時間」「うつ病発症の原因は脳梗塞の発症による心理的負
荷によるものが強く、システム業務が強い影響を与えたとはいえない」「研究発表は私的研究によるもの」
などと主張。


 判決では「システム開発自体は外注されていたため、うつ病を発症させるほどの強度の心理的負荷があ
ったとは認められない」「出張については既に行っていた研究の発表であり、負荷はない」と判断しました。
これらに基づき、中西裁判長は「業務とうつ病発症には因果関係が認められない」とし、原告側の訴えを退
けました。


 この判決に対して、判決を見守った約40人の支援者からは「本来の薬剤師業務とシステム開発の過重
な労働負荷について、司法は正しく判断していない」「うつ病発症の時期について原告側と国側で異なって
いたが、明確に判断されなかった」など批判が相次ぎました。